「FC.Resnovae」って一体なんだ!?
ーーー今日は宜しくお願いします!
下山田・内山:宜しくお願いします!!!
内山:そんな固い感じにならずにやっていきたいね!いつもみたいに(笑)
ーーーそうですね。普段、話しているような感じでやっていきましょう!ではまずは、お二人のこれまでの経歴を簡単に教えてください。
下山田:自分は、高校は十文字高校、大学は慶應義塾大学に進んで4年間ソッカー部女子でプレーしてました。卒業後はすぐにドイツに渡って、現在ブンデスリーガ2部のSVMeppenというチームでプレーしています!
内山:自分は、中学高校ともに十文字で、その後早稲田大学のア式蹴球部に進み、卒業後はイタリアセリエBのApuliaTraniでプレーしていて、昨年帰国しました!
下山田:自分と内山は高校時代の同期だけど、中学時代のナショナルトレセンっていう選抜でも一緒だったから、その頃からの戦友です!
ーーーではズバリ質問させて欲しいのですが、おふたりが今回立ち上げる「FC.Resnovae」について簡単に教えてもらえますか?
下山田:直球にきたね(笑)
内山:でも、今回自分たちが話したいのはまさにそこだからいいじゃん(笑)
下山田:まあ、そうよね。自分たちが今回立ち上げる「FC.Resnovae」を説明するには、コンセプトから伝えた方がわかりやすいかもね。
内山:そだね。FC.Resnovaeのコンセプトは「女性スポーツ界を切り口に、アスリート1人ひとりの価値を引き出す」です。
ーーーなるほど。女性スポーツ界を切り口にしたのには何か理由があるんですか?
下山田:女性スポーツ界は男性スポーツ界のようにその競技だけで生きていく環境が整っていない部分が多くて。自分たちは女子サッカー選手だけど、女子サッカーなんかはもろにその男女差が出てしまっている状態。
だけど、その差を当たり前だと思うのではなくて、どうにかしたいと思って選手本人が立ち上がらなくちゃいけないんじゃないかなって。
内山:うんうん。でも、やっぱり待遇はプロではないし、「プロのアスリートとして」を求められるとどうしても金銭的にも精神的にも難しいって思っちゃう選手も多いと思っていて。女性に関しては結婚出産が、競技を続けるかどうかの人生の岐路になったりして、真剣に向き合わなきゃいけないものが多いとも思うし。
ーーー確かにそうだなあ。じゃあ2人は「FC.Resnovae」を通して女性スポーツ界を変えていきたいってイメージなんですか?
下山田:いや、それとはまた違うかも。そんな大きな力はないし。
内山:うん、最終的にそうなればいいけど自分たちがアプローチしたいのはそこではないね。どちらかといえば選手個人にアプローチをしていきたい。
下山田:そうだね。たとえ”一般的な”プロの選手でなくても、選手1人ひとりのこれまでのストーリーに価値が絶対にあると思っていて。でも、自分の価値に自分で気がつくのって物凄く難しいことだから、そこを自分たちが引き出したいなと。
内山:FC.Resnovaeに関わる中で、自分の価値に気づいてもらえて、それを活かす場所を見つけて欲しいなってことだよね。そうやって選手個人が1人の人間として魅力的になることで、「その選手を応援したい!」「そのスポーツを応援したい!」って思ってくれる人が増えると思うから。
下山田:あ、そこ大事!そこポイント!
お金を競技で稼ぐっていうのが現実的には難しいからこそ、女性スポーツ界の選手たちは新しいプロフェッショナルの姿を作らなきゃいけないし作れるチャンスだとも思う。
内山:自分たちの考えるProfessionalとは、競技でお金を稼ぐことだけではなくて。「プロ=ファンがいること」だと思っていて。みんなが自然と応援したくなる、目指したくなるようなアスリートの新しいプロフェッショナルの姿を創りたいなと。
ーーーなるほど。じゃあ、そのプロフェッショナルの姿を創るべく、とうとう始動するんですね。
内山:そうそう、ようやくね。
下山田:正直、自分たちも別にトップアスリートではないし、ただただサッカーが好きでサッカーに真剣に向き合ってきた選手の1人。だから、別に素晴らしい発信力があるわけでも胸を張れる経歴があるわけでもない。
内山:本当にそう。だからこそ、たとえ1人ひとりがまだ小粒でも、FC.Resnovaeに集まったメンバーがお互いの価値を引き出しあってチームとして闘えたら強いんじゃないかなって。1人だったら怖いけど、みんなでだったらResnovae(革命)を起こせるんじゃないかなって。
ーーーあ、Resnovaeって革命って意味なのか!(笑)じゃあ、そんなFC.Resnovaeを立ち上げたいと思ったきっかけが聞きたいです!
内山:それは自分たちのこれまでのサッカー人生がすごい関係あるよね。
下山田:そうだね。
"調和"ではなく"発信"していかなければならない
ーーーお二人とも卒業後すぐに海外でプレーする経験をされているとのことですが、海外での経験から何か感じ取ったものはありますか?
内山:日本での「当たり前」が向こうでは当たり前ではない...ということを肌で感じたなあ。特に、イタリアでは「自己責任」が当たり前。それを5歳の子どもにも求めていたんだよ。
自分の行動には責任が伴うということを小さいころから教えられているから、「自分のことは自分の責任」と考える癖がついているんだなぁと。
下山田:自分は人の目を気にしなくなったなぁ。日本だと、むしろ周りの目を気にしないと生きていけない感じがしてて。
「自分がチームのために声を出さなきゃ」とか...それは間違ったことではないんだけど。なんだろうな...。
内山:あーでもそれわかる。日本にいたころは周りと調和しなければならない...というのはあったね。
ーーー調和しなければならない...とは、「同じことをしなければならない」ということですか?
内山:いや、同じこと...というよりは、自分たちはパズルのピースで、適切な場所にはまらないといけない...みたいな感じかなあ。
下山田:そうだね。許容された範囲内でやれることをやってくれよ、という感じ。
ーーーそうなることで、何か弊害みたいなものはあったんですか?今振り返るからこそ、見えるものがあるような気がするんですが。
下山田:これだな、って思ったのは、これまで「自分の頭で考えてなかったなぁ」と感じることが本当に多かった。
内山:考える必要がなかったよね。指導者や周りから言われた通りにやれる選手が良い選手だったから。
下山田:本当にそう。
内山:それはある意味楽なんだよね。
下山田:流されていれば、勝手にチームが進んでいくからね。
海外の場合は考えることを止めた瞬間に落ちていく感覚がある。全然進まなくて、むしろどんどん後退していっちゃって。
内山:自分から発信しないと、もう「いないのも同然」みたいな雰囲気。
ーーー「自分で考える」ことをしなければならない環境だったんですね。どういうことを日々考えていたんですか?
下山田:例えば、ものすごく調子が悪い日があったとして。日本にいた頃は周りの選手が「今日調子悪かったじゃん」とか「今日あそこのプレー悪かったよ」と言ってくれていたんだよね。それこそ指導者に怒られたりとか。
周りが自分の直すべきところを教えてくれてたから、そのおかげで気がつくわけ。
でも、ドイツに来てからは何が悪かったのかは全部自分自身で考えないといけなくて。それがチームメイトとのコミュニケーションの問題なのか、フィジカルの問題なのか...全部の可能性を考えないといけない。
内山:それはまさにそうだね。FC.Resnovaeの目指す姿として3つの「JI+SIN」を掲げているんだけど、そこの1つに「自進」があって。それはその経験から来ているものだよね。「自分の頭で考えて進む」ってことなんだけど、それが出来る選手を増やしていきたい、自分たちも常にそうでありたいって気持ちがある。
サッカーに専念して初めて気付く"22/24"の時間
ーーーなるほど...。サッカー以外の部分でも「考える」ことは増えたんですか?
内山:そうだね。一日に練習する時間なんてだいたい2時間程度で、それ以外の時間はどフリー。その時間にどうしても考えてしまった(笑)。
どうしたらうまくなれるだろう...とか、今後どういう選手になっていきたいんだろう...とか。しもはどうだった?
下山田:まさしく同じだね。高校とか大学の時は自然と勉強との両立をしていたからこそ、「プロとしてサッカーだけに集中してみたい」という思いもあって海外を目指したの。
でも、海外に渡っていざサッカーだけに時間を使える立場になった時に、初めて「サッカーしている時間って2/24しかないんだ」ってことに気がついて(笑)。
内山:それ、めっちゃわかるわぁ(笑)
下山田:わかるっしょ(笑)。これ、残りの22時間どうしよ...みたいな感じになっちゃったんだよね。
ーーーそれ面白いですね(笑)逆説的に気づいたんですね。
下山田:今までは、勉強だったりとか、サッカー以外にやることが勝手に詰まってて。与えられているものを一生懸命こなしていけばよかったのに、いきなりそれを自分自身で埋めていかなければいけなくなっちゃったから。最初は「あれ、これ困ったなぁ」ってなったよね(笑)
「サッカー×○○」のキャリアがあっていい
ーーー海外でそういう経験をされている2人だからこそ伝えられることがあるんじゃないかと思います。
内山:自分自身、海外に行くまでは「自分の人生の中心にサッカーがある事」が当たり前で、常にサッカーありきで物事を判断し、サッカー以外の事には全く目を向ける事ができていなかった。心のどこかで「本気でサッカーしてるんだから、他の事は分からなくても良いだろう」という甘えがあり、サッカーのない生活についても考えられてなかったんだよね。
でも、イタリア時代のチームメイトで、サッカー選手をしながら歌手活動もしている選手がいたんよ。
下山田:それは新しすぎるな。
内山:自分にとってはそれがすごく新鮮で...。本気でどっちもやってる。練習も試合も本気だし、でも週末にライブがあったらそっちも行くみたいな。
それをチームメイトもスタッフも応援している。サッカーを見てその選手のファンになった人が、歌手活動のほうも応援していたり。
下山田:そうやって、個人的な魅力でファンをグランドに連れてこれるのってステキ。
内山:そもそもサッカーと何かを両立する...という考えがなかったから、「これってありなんだ!」って思って。その選手との出会いがきっかけで、「サッカー×○○」ってあってもいいんだ!って気づけたんよ。
日本だと、競技だけを本気でやらないといけない...みたいな風潮がある気がして。でもそれはもったいないなと。本気で両方やってる人もいるってことを伝えたいなあと。
ーーーまさに、スポーツ選手のキャリアについて問題意識を抱いた瞬間だったんですね...。お二人は、これからの自分のキャリアをどのように描いているのですか?
下山田:そこを2人とも模索している...よね(笑)。
内山:そうだね(笑)。
下山田:22/24時間もあるサッカーをやっていない時間を、サッカー同様に自分が本当にやりたいことや楽しいことで埋められたらいいなぁと。
さっき内山が言ってたみたいに、今まではそれがタブーって思われていたりとか、そもそも無理だって考えがあったと思う。女子サッカー選手はスポンサーで働くことがサッカーのためにも1番でそれが当たり前になっているし。
内山:当たり前を変えていきたいよね。
下山田:うん。だから、「サッカーも本気でやるし、サッカー以外でやりたいこと・自分にしか出来ないことも本気でやる」ということに挑戦したいし、それを他の選手と一緒にやっていきたい。でもどうやったら実現できるのか...を模索しています。
内山:今は怪我等があってチームに所属はしていないけれど、自分自身が「引退」したとは思ってなくて。「引退」って言葉を使うと、「もうサッカーを本気でやっちゃいけない」というレッテルを張られたような気がしてしまって(笑)。
やはりサッカーが大好きなので、今はちょっと休憩くらいの気持ちで、状態がよくなったらまたプレーをしたいし、生涯現役でいたい!(笑)
下山田:生涯現役、いいね!
内山:だから、今のリハビリ期間中はResnovaeの活動を通して、もっと女子サッカー界を良くしていきたいし、女子サッカーの持つ価値をみんなに知って欲しい。24時間365日サッカー選手として生き、「私は女子サッカー選手です!」と胸を張って言えるような環境を創りたい。
さらには女子サッカーにとどまらず、女子スポーツ、性差関係なくスポーツ全体にも影響を与えられるような組織にFC.Resnovaeをしていきたいと思ってます!
ーーー現時点で、FC.Resnovaeはどんなアクションを起こそうとしていますか?
内山:まずは、自分たちがアスリート1人ひとりのストーリーや価値を発信する場を整えながらどんどん仲間を巻き込んでいこうって考えてる。そのメンバーと一緒に、6月を目処にイベントも企画しているし、どんどんアクションを起こしたい。
下山田:女子サッカー界を始めとする女性スポーツ界は注目されづらいからこそ、自分たちで注目しちゃおう作戦(笑)この作戦に賛同してくれるアスリート、募集中です!!!
*FC.Resnovaeの今後の活動内容についてはこのサイトにあるWORKSからご覧ください!
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