「しもちゃんさ、スペインでサッカーやってるプロ女子サッカー選手が女子サッカーのために何かしたいって言ってるんだけど繋げて良い?」
知り合いからこんな連絡が届いた。
“スペイン女子サッカーがアツい。”
ちょうど最近、スペイン女子サッカーのそんな話がSNS上で頻繁に飛び交っていた。
先日行われた女子1部リーグ、バルセロナvsアトレティコマドリードの試合では観客数6万人を叩き出し、2部リーグのオサスナvsエイバルの試合では1万人。日本では想像できないほどの盛り上がりがスペイン女子サッカー界で巻き起こっているからだ。
そんなホットなスペインの女子リーグでプロとして闘う選手。すぐにでも話を聞きたいと、秒速で連絡を取った。
その選手の名前は「冨山瞳(トミヤマ ヒトミ)」。通称トミ。 26歳にしてスペインに渡り、海外プロサッカー選手になるという夢を遅咲きで叶えた。
先日は男子日本代表の乾選手のチーム入団会見通訳を務めるなど、遠くスペインの地でトミさんにしかないSTORY築き上げている真っ最中だ。
今回は、そんなトミさんが一体どんな選手なのか、スペインでプロ選手として夢を叶えるに至るまでどのような経験をしてきたのか、話を聞いた。20代後半でもなお、チャレンジャーとして人生を楽しむトミさんの素顔に迫る。
冨山瞳(トミヤマ ヒトミ)
プロ女子サッカー選手。現在スペイン女子2部リーグのアラベスに所属。
過去所属チームは以下の通り:西谷FC(男子)、大和シルフィード、藤枝順心高校、関東学園大学、スフィーダ世田谷FC、大和シルフィード、サンタテレサ(当時スペイン女子1部)
(トミさん:T/インタビュアー内山:U/インタビュアー下山田:S)
U:トミさん、こんにちは!今日は、宜しくお願いします!
T:宜しくお願いします!
S:早速ですが、トミさん。簡単にプロフィールを教えてください!
T:冨山瞳、6月7日生まれ、28歳。ポジションはボランチ! チームは、スペイン女子2部リーグのアラベス。1部リーグへの昇格を目指しているんだけど、今は残り1節を残して他チームの結果次第でプレーオフに出られるかどうかって状況。(2019.4.15現在)
S:おお〜、なんとかプレーオフ進出したいですね!
アラベスって言えば、男子日本代表の乾さんが冬移籍で加入しましたよね!乾さんがアラベスに来てから、通訳をしたりチームの動画に一緒に出演したり、トミさんも一緒にピックアップされてるのを見ました! (企画の様子はこちらからどうぞ)
T:そうそう。乾さんがきて「ラッキーだなあ」って思ったことは間違いない(笑)
S・U:ですよね〜。
T:っていうのも、もともとアラベス女子のことももっと知ってほしいって思いがあって、乾さんがアラベスに来たことで女子チームの方にも日本人選手がいるって知ってほしいなって。
あと、乾さんとはプライベートでもお世話になってて一緒にご飯行ったり、この間は家にも招待してくれて。アラベスに来て初めてちゃんとした日本食を食べた。(笑) 乾さんのケアしてくれてる人紹介してもらって怪我してる膝見てもらったり。(現在、左ひざ前十字靭帯部分断裂でリハビリ中)
S:そんな近い距離で乾さんと関わってるんだ…
T:そうそう。
サッカーとかお互いの話とかもするんだけど、その中でも男子サッカー選手と女子サッカー選手の違いをすごく感じる。この前は、「日本帰ってる~?」って聞かれて。自分は「年に1回です」って伝えたら、「滞在時間が3日あったら日本に帰る」って乾さんが言ってて。
S:うわ、それは羨ましい…女子選手では生活にそこまで余裕ってないですよね…
T:それに頻繁に日本に帰れるお金があるってことも男子選手と女子選手の違いだし、やっぱり女子は過酷だなあと感じる。
S:トミさんも乾さんもアラベスのトップチームで、ただ男子か女子かの違いですもんね。
T:同じ労働時間、同じスポーツ、ピッチサイズも試合時間も一緒なのに、男子と女子の違いで待遇や環境がこんなに違う。競技レベルとか色々な要素はあると思うけれど、やっぱり悔しいなって思う。
(アラベス男子のホームスタジアム「メンディソロッサ」)
S:最近、スペインの女子リーグはプロ化に向けて力を入れてるって話をよく耳にするけどなあ。
T:今、女子と男子を平等にって動き自体はすごくある。今年は特に色んなチームで男子のスタジアムで女子の試合を開催することもあるし。来季からは、リーグごとの競争率を上げるために1部と2部の間に新しく1部Bリーグができたり、そういった動きはスペインでは活発かな。
U:この間、スペイン1部のアトレティコvsバルサで6万人観客動員してましたよね。イタリアでも約4万人収容のスタジアムがほぼ満員になったユベントス戦が話題になってましたし、ヨーロッパではだいぶプロ化の波が来てますね!
T:スペイン2部でもこの間、1万人動員してたからね。実はアラベスでもこの前、メンディソロッサ(男子のスタジアム)で女子の試合があって8,300人以上動員。Twitterの速報やロッカールームの準備もしてくれたり、進行は全部男子と同じ。ヨーロッパ全体でそうゆう波がきてるのを、肌ですごい感じてる。
(8300人を動員した試合の際のロッカールーム)
S:現時点では男子とは待遇が違うかもしれないけど、これからどんどん成長していくだろうヨーロッパの女子リーグでプレーできるのって物凄く貴重な経験ですよね。
T:そうだね。実はアラベスの女子チームが創立したのも去年からで。
S・U:え、そうなんですか?!!
T:そう。男子も女子のチームを保有することがチームの価値を高めるという考え方になってきているかな。
S:日本ではJリーグのチームが女子チームを保有することをプラスに捉えてる感じってあまりない気がする。それもまた、スペインリーグだからこそ感じられる考え方だよなあ。
U:そうだよなあ…さっき、現在2部の首位でこのまま行けばプレーオフって話してましたが、2部から1部への自動昇格はないんですか?
T:今、スペインの2部リーグは7つの地域リーグに分かれてて、各グループの首位と2位の中の1番のチームを足した8チームがプレーオフ進出。4チームずつに分かれてホーム&アウェイのトーナメント式。それで、それぞれのトーナメントの1位が1部昇格って感じ。
(スペイン女子2部リーグの地域分けの図 designed by トミさん)
S:じゃあ、2部リーグは母数のチームが多いんですね。
T:そうそう。
2部リーグは各地域14チームで構成されてて全部で112チーム。(テネリフェとラスパルマスは島のため併せて1つのリーグ)アラベスは現時点で1部B以上は決まっていて、今は1部昇格に向けて頑張ってるところだね。
"0"の葛藤、苦しみながら築き上げたスペインでのキャリア
S:今、アラベスでプレーしていますが、チームの中でトミさんはどんな選手なんですか?
T:うーん、そうだなあ、今年は怪我が多いんだけど、怪我以外の時は大体スタメンで使ってもらっていて。監督からも評価してもらっていると感じるかな。アラベスのプレースタイルと自分のスタイルが合ってるとも思う。自分のプレースタイルのイメージはブスケツみたいな感じで、守備でガンと奪って、そこからパスで散らしてく。チームもそういうのをボランチに求めてる。
チームメイトとはそうだなあ、プレーの特徴をお互い理解してるし、サッカーの時は問題ない。特に、空中戦は負けない自信があるから、そこも評価してもらえてるかな。
S:なるほどなあ。
T:今はサッカーを楽しめてる!その要因は、試合に出れている事が1番大きいかな。
S:”今は”ってことは、楽しめていない時期もあったんですか?
T:そうだね。スペインに渡って最初の2年間はサンタテレサってチームにいたんだけど、試合でほとんど使ってもらえなかった。2年目はスタメンでの出場が1試合だけで、その試合も後半途中で交代だったし。シーズン通して1試合も出れていないと思う。
S:サッカー選手としては辛い時間ですね…
T:うん。スペインに渡った当初は、自分がこれまでのキャリアで培ってきた自信が全部なくなった。本当に0(ゼロ)。試合に出れない事でコンディションも落ちて、自分をうまくコントロールできなくて。練習でもうまくいかない、自分じゃないようなプレーばかりしたり。そこでチームメイトや監督からもガンガン言われて。それでどんどん落ちて自分に自信がなくなって。もう、練習行くのが怖かった。1年目は特に、チームの中にいる1人ではなくて外にポツンといる感じ。今思うと自己肯定感が低かったのかなあって。
S:逆に、日本でサッカーしている時は自己肯定感はあったんですか?
T:いや、なかったんだよね、多分。でも、日本では周りにチームメイト、監督、サポーターの人がいて。その周りの人に自己肯定感をあげてもらってたって事にこっちに来て気がついて。あとは、キャプテンという立場も時もあったし。その立場によって、自分がいなきゃいけないところに合わせてたって感じかなあ。でも、スペインに来てそんな肩書きが何もなくなって。スペインでは自分はただの日本人。自分1人だけの力でチャレンジしなければならなくて。それがうまくいかなかったら、ネガティブになっちゃう。自分ってすごく弱い人間だなって思った。
S:それ、めっちゃ分かるなあ。海外に来るといかに自分が無力なのかってことに気づかされるんですよね。それで、そんな自分が嫌になっちゃう。
U:肩書も経歴も全く関係なくて、ただ1人の日本人として勝負しなければならないですもんね。
T:ただ単純に自分に自信がなかったし、性格的にも周りの目を気にしちゃう方だから、周りを気にしすぎて自分を見失ってた。本当に自信がなかった。しかも、自分のサッカーキャリアでシーズン通して、こんなに試合出れないのって人生初なの。
(スペイン1年目サンタテレサ所属時代の1枚)
S:なるほどなあ。2年間、そんなにも苦しんだのに3年目もスペインでチャレンジしようと思った理由はなんだったんですか?
T:1年目が終わった時は、たった1年じゃまだ何も分かってないだろうって思って。2年目は1年目よりも試合に出られなくて本当に日本帰りたいって思った時期もあった。全然楽しくないし、ここにいる意味あるのかなって。でも今、日本に帰ったところでサッカーで何も残せてないし不完全燃焼だなって。
あとは、2年目に本当に練習行きたくなくて練習を2日連続で休んだことがあって。そんなこと今までのサッカー人生で1回もなかったし、自分でもびっくりして。今思うと、軽く鬱だったんじゃないかなぁ。その時に本気で心配してくれた人たちがいたんだよ。その人たちが、また会いたいからスペイン残りなよって言ってくれたのも響いた。支えてくれる人たちがいたから何とかやってこれたな。
S:周りに支えられていたんですね… 最初の2年間は苦しみながら1部でプレーして、今は2部でプレーしているじゃないですか。自分がプレーするリーグを落としたのはどんな意図があったんですか?
T:そこには、かなり葛藤があった。コンディション上がってる感覚が自分の中でもあったのに、試合には使われない。同じポジションで試合に出てる選手よりも自分の方が出来てると思ってたのに、「何で自分使わないんだ」って思う時もあった。だから、最初は1部の他のチームでできるかってのを試したかった。2部って選択肢はなくて。
そんな時に、チームメイトと来季どうするのって話をしてて。その子に「自分が幸せな方に行きな。」って言われたの。それで、自分の幸せって何だろうって考えた時に2部でもありだなって思った。
S:幸せな方、かあ。
T:それで日本に帰ってまだスペインのいくつかのチームと連絡を取り合ってる時に、たまたま2部のアラベスと連絡取る機会があって。だから、もうとりあえず行こうみたいな。何の保証もないアラベスに行くかって。それはちょっと賭けだった。正直、お金もなくて親に頼んで借りて片道の航空券だけ握りしめて。ダメだった時のことは考えなかった。でも、なんか自信があった。根拠のない自信(笑)サンタテレサでやって通用するって感覚があったんだと思う。だから、行けるって。全然根拠なかったけど。
S:契約はどんな流れで決まったんですか?
T:トライアウト期間として3週間トレーニング。自分以外にも1年目にいた選手と新しく呼んで来た選手で27人くらいいたかな。最終メンバーは22人がマックス。だから、何人かは落ちるってことは確かで。その3週間の後にクラブの人と話して、こうゆう契約でってサインした。
U:チャレンジャーだなあ(笑)
S:本当だね。チャレンジャー。
「楽しそう!」その想いで突き進んだ学生時代
S:そもそもサッカーはなんで始めたんですか?
T:簡単にいうと楽しそうだったから(笑)始めたのは4歳の時。幼稚園の体操教室の先生がサッカー教室始めますって紙を配ったんだけど、その体操の先生が好きで。お母さんにやる?って言われたから「やる~!!」って。(笑)本当に最初はそんなノリで。
S・U:(笑)
S:珍しいパターンですね。お母さんからやってみるって聞かれるのって。
T:そうだよね。普通、お兄ちゃんとかさ友達の男の子がサッカーやっててとかだよね。
S:お父さんがサッカー好きでとかもなく?
T:全くない。お父さんは、テニス、ソフトボールはやってて、サッカーは見るけど熱狂的ってほどではないかな。
S:じゃあ、本当に子供心の「やりたい~」って気持ちで始めたんですね。
T:そうそう。本当に興味本位。
S:トミさんは、その「やりたい!」「楽しそう!」みたいなノリが今も続いている感じがするなあ(笑)
T:進路を決める時は楽しそうだなって思った方を選んでる。
U:それ、大事だよね。そこが本質だと思う。
S:うんうん。楽しそうな方を選ぶのって楽そうに見えて、大人になればなるほど難しくなっちゃうものだもんね。
U:その後サッカーを続けていく中で、トミさんにとってここが自分のターニングポイント!って感じている年代ってあるんですか?
U:うん、ある。藤枝順心高校時代は自分のサッカーのターニングポイントだった。サッカーのことはここで学んだ。
U:それは、どんなことを?
T:中学で所属してた大和シルフィードの時は「止める、蹴る」の基本技術を学んだ。何も考えずに毎日ひたすら楽しくボールを追いかけてて。その時は本能でやってたと言うか。でも、高校は順心に行って、サッカーのセオリーというか、戦術セオリーを教えてもらったっていうのはでかいかな。
(高校1年生の時に藤枝順心高校で全国優勝を成し遂げた時の1枚)
U:サッカーベースが出来上がったのはそこだなって感じてるってことですか?
T:そうね、サッカーのいろはを学んだのはここ。自分はサッカーを始めてから高1までずっとフォワード。シルフィでもエースストライカー的な存在。でも、高2年の時に監督がボランチやってみろって。GK以外全てのポジションやったことあるけど、そこからずっとボランチかな。
U:なるほど。サッカー脳の成長は順心時代にあったと思うんですけど、それ以外に生活面だったり精神的な面だったりで成長したなってことはありますか。
T:高3の時にキャプテンを任されて。それは精神的にきつかったかな。キャプテンの役割もわかってなかったし。性格的に人前で話すのが好きじゃなくて。自分、キャプテンとして嫌われ役にはなれなくて。嫌われるのは怖さがあったからそこは出来なくて。あとは、腰の疲労骨折をしたんだけどそれが2年の終わりだったの。だからプレーで引っ張れないってのはあったかな。
(藤枝順心高校時代、キャプテンマークを巻く冨山選手)
U:キャプテンと怪我で苦しんだんですね…
T:そう。大学も4年の時にもキャプテンを任してもらって。高校の時にやりきれなかったから、リベンジも兼ねてやってみようって。
S:高校の時も大学の時もキャプテンって、監督から相当信頼される選手だったんですね。
T:そうなのかなあ。まあ、キャプテンにしてくれるってことは何かあったんだろうね。
S:その何かってトミさん的にはなんだったと思いますか?
T:自分的にはやるって決めたらやるところかな。あとは正義感も強いほうかな。
S:そのやるって決めたらやるっていうのは、スペインに行くって決めたらいくって感じに人生でもちょこちょこ現れてる感じがするなあ。
T:スペイン、来ちゃった(笑)
U:来ちゃいましたね(笑)
T:多分、欲しいと思ったものは手に入れないと気が済まないタイプ。でも、絶対自分の力だけだったらスペインにこれてないから、周りの人たちにはすごく感謝してる。
S:それで、大学を卒業してからなでしこリーグ2部のスフィーダ世田谷に入ったんですよね。
T:うん、なでしこリーグの1部も考えたけど、絶対ここがいいってチームがなくて。1部に挑戦する怖さもあったんだと思う。スフィーダも2部だけど積極的に1部を目指してるチームでレベルも低くないし。
S:なるほど。ちなみに、スフィーダの時って働いてたんですか?
T:そう、1年目はスポンサーだった運送会社で働いてて。朝がめっちゃ早かった。終わるのは14時とか15時とかだったけど。試合が日曜アウェイの時に夜23時とか遅くに帰ってきて、次の日仕事で朝早いとか。それ頑張って起きて行ってる自分偉いみたいな(笑)
U:サッカーしながら働くのって大変ですよね…
S:実際、日本ではほとんどの選手がトミさんみたくスポンサーで働きながらサッカーしてるもんね。大変だよなあ。
「心が動く方へ」が夢を叶える
S:自分のサッカー人生を振り返ってみて、トミさんが何かを決める時の基準ってなんだったと思いますか?
T:自分の心。心が動く方かな。もちろん楽しいことばっかじゃないし多分きついことのほうが多かったけど、今までの自分の選択に後悔してないし、この道が正解というよりもその道を楽しもうって。 あと、知らないことを知りたい欲は強いかな。安定よりも刺激を欲するタイプで、今までもずっと同じところに長く住んでたことはなくて。
S:実際に新しいことをするのって面倒臭かったり、怖かったりするじゃないですか。だから、そうゆうことを考えずに自分の心に素直に動けるのって凄いなって思っちゃう。
T:新しいことに対してはワクワク感の方が強いかな。
S:実際に、26歳でスペインに渡ってますもんね。20代って周りはみんな働いていて、自分のお金で生きて行かなきゃいけない年代でもあるじゃないですか。それでもチャレンジャーとしてスペインに渡ってるのも、"心が動いたから"だったんですか?
T:そうか、チャレンジャーか(笑)スフィーダでやってて3年目で、夏くらいに来年どうしよっかってチームメイトと話してて。海外の話になって、海外もいいなぁって。
S・U:あ、完全にノリですね(笑)(笑)
T:違う違う、聞いて(笑)海外でやりたいって憧れは小さい頃から持ってて。高校から大学、大学から次って考えたんだけど、当時海外は代表クラスの選手しかプロでは行けないとか、留学で行くとしたらすごくお金がかかるから、経済的に余裕があったわけじゃないし諦めてた部分もある。25歳になった時に引退について考えだして。その時にサッカーやめた後に「あ、海外行けばよかったな」って後悔したくないなって。それで「行きたい。」って。
S:心、動いたんですね。
T:そう、行くって決めてからすぐにスフィーダの監督に「海外行きたいです。だからスフィーダやめます。」って言って。
U:そこからどうゆう繋がりでスペインに渡ることになったんですか?
T:その時はコネとか何もなくて、ただただ海外に行きたいって一心だけ。色んな人に海外について聞いて情報を集めてそこからスペインに5年いた選手に相談したら、スペインリーグに詳しい人を紹介してくれて。その繋がりで行ったって感じかな。だから、最初は何も繋がりがない状態で、ただ行きたいってことを周りにいい続けて叶ったって感じ。
S:常に想いで突き進んでるんだなあ。
T:そう、本当に想いだけ。でもその時に、口に出すことで想いって叶うんだなって思った。口に出すことで周りがわかってくれて助けてくれた。だから、夢とか叶えたいことはどんどん口に出していった方がいいなって思った。 でも、本当に周りの助けがなかったら自分は今ここにはいないし、感謝しかない。あとは運があったなって。
後に海外に来てから思ったことなんだけど、そういえば小学校の文集で将来の夢に「海外で女子のプロサッカー選手になる」って書いたと思って。その文集探したのに見つからなかったんだけど、帰ったらもう1回探そうと思って(笑)書いたのは小学校中学年とかだったと思うけど。
U:へー、絶対それ書いたから叶ったんですよ!!!ケイスケ・ホンダみたい!!!(笑)
自分だから出来ることを探し続けて
S:今後のキャリアについてはどう考えてますか?
T:将来は考えてるけど、まだ漠然としてる。模索してる。自分は何が好きで何がやりたいんだとか、何が向いてるんだとか。サッカーをいつまで続けよう、いつまでスペインにいようっていうのもまだ分からないなあ。去年は将来について悩みすぎてただ漠然と焦ってて。でもそれって、今1日1日を生きないと見えてこないものだし、見えない未来のことで悩んでもしょうがないってなって思った。だから、とりあえず今を一生懸命生きることにしてる。そしたら何か見えてくるかなって。
U:じゃあ、まさに今、サッカー選手以外のキャリアをどうするか考えてるってところですね。
T:そうそう。
S:それこそResnovaeを使って欲しいね!トミさんが出来ること・やりたいことを一緒に考えていきたいし。自分らを使って欲しい!
T:ぜひ!!
S:それで、サッカー選手以外のことで何かトミさんの心が動くものが見つかったら最高ですね。
T:そうだね。それかサッカー選手の延長線上?例えば、選手以外でもクラブにかかわることだったり。女子サッカーのこともっと知ってほしいってのもあるし。日本の環境も良くなってほしいし、今のスペインと同じような環境で日本でもできたら最高だろうなって思うから。
S:うんうん。今年に入ってなでしこリーガーが動き始めたのを凄い感じていて、自分たちのように海外を見てきた選手となでしこリーガーで協働できたら面白そうだなって思ってるんですよね。
U:それな!日本も、2020年東京オリンピック以降、プロ化するって方向で動いているみたいだし、今こそ選手発信で動くしかないよね。
T:日本のそうゆう動きにも携われたらいいなとは思ってる。タイミングと運があればプロ化の動きに関わりたい。
U:トミさんは、ずっとそうやって想いを口にしてタイミングと運を引き寄せちゃいそう。
T:あー、なるほどなあ。やりたいことを口に出してね。発信することの大事さはスペイン行きの夢が叶った時に実感したから。口に出し続けて文集にまで書いてた夢、叶っちゃったしね。
S:わ、もう3時間も話しちゃった。めっちゃ話しましたね!
U:本当に。もっとスペイン女子サッカーの裏側も聞きたいし、スペイン選手同士の対談とか企画したい!
T:それ、めっちゃやりたいわ!
S:やりましょう!面白そう、絶対企画します。
T:うん、ありがとう。ぜひ、やりましょー!
サッカーが大好きで、楽しくて…そんな純粋な気持ちを何歳になっても持ち続けるトミさん。
サッカー選手としても1人の人間としても大きく成長し、今後ますます発展が期待されるスペインリーグで闘うトミさんの動向に今後も注目です!
スペインリーグでの挑戦を綴ったブログも要チェック!(こちらからどうぞ)
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